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ハンドメイドの原価計算

ハンドメイド原価計算のやり方
材料費の按分・ロス率・道具代まで

原価計算でつまずく原因は、ほぼ1つです——「まとめ買いした材料を、1作品いくら分使ったか」を出せていないこと。結論から言うと、1作品の原価は次の3つの足し算です。
原価 = 材料費(1個あたりに按分)+ ロス分 + 道具・備品の按分。このページは、この式をピアス1作品の実数で最後まで通して計算します。

最終更新:2026-06-29

結論:原価は「3つの足し算」で出す

原価とは「その作品を1つ作るためにかかった費用」です。ハンドメイドでは材料をまとめ買いし、道具も使い回すので、丸ごとの購入額ではなく1作品あたりに割り戻した金額で考えます。式はこれだけです。

① 材料費(按分)= まとめ買い額 ÷ そこから取れる個数(または使用量で割る)

② ロス分= 材料費 ×ロス率(失敗・端材・試作の見込み)

③ 道具・備品の按分= 道具の購入額 ÷ その道具で作れる想定個数

1作品の原価 = ①材料費 + ②ロス分 + ③道具按分

多くの人が①だけ(しかも丸ごとの購入額のまま)で止まってしまい、「思ったより儲からない」となります。②③まで入れて初めて、値づけや利益の判断に使える原価になります。以下、順に埋めます。

ステップ①:材料費を「1個あたり」に按分する

ここが最大の山場です。やることは割り算1つ——まとめ買いした金額を、そこから取れる個数(または使った量)で割るだけ。UVレジンのピアスを例にします。

材料買い方(まとめ買い)1作品の使用量1作品あたり
UVレジン液500g=2,000円15g60円
ピアス金具10ペア=600円1ペア60円
着色剤・ラメ1本=800円(約50作品分)1/50本16円
台紙・ラッピング袋100セット=500円1セット5円
材料費 合計(①)141円

計算例:レジン液は 2,000円 ÷ 500g × 15g = 60円。金具は 600円 ÷ 10ペア = 60円「グラム単価×使用量」か「1袋の値段÷入数」のどちらかに必ず落ちます。使用量がうまく測れない着色剤などは「1本で何作品ぶん使えるか」をざっくり決めて割れば十分です。

ステップ②:ロス率を上乗せする(失敗を原価に入れる)

実際には、気泡・割れ・色ムラ・試作で作った全部が売り物にはなりません。失敗した分の材料費も、売れた作品が背負っている本当のコストです。これを「ロス率」として材料費に上乗せします。

今回はロス率15%とすると、141円 × 1.15 = 約162円。材料費141円に対し、ロス分は約21円です。

ステップ③:道具・備品を1個あたりに按分する

UVライトやモールド(型)など、繰り返し使う道具も原価の一部です。道具の値段 ÷ その道具で作れる想定個数で、1作品あたりに薄く乗せます。

道具・備品購入額使い切るまでの想定個数1作品あたり
UVライト3,000円約500個6円
シリコンモールド800円約200個4円
道具按分 合計(③)10円

「想定個数」は精密でなくて構いません。3,000円 ÷ 500個 = 6円 のように、ざっくりでも入れておくのが大事です。なお高額な機材は会計上べつの扱いになる場合がありますが、原価の感覚をつかむこの段階では「想定個数で割る」で十分です。

実原価の通し計算(ピアス1作品)

①②③を足すと、この作品1個の実原価が出ます。

項目計算金額
① 材料費60+60+16+5141円
② ロス分141円 ×15%+21円
③ 道具按分6+4+10円
1作品の実原価約172円

材料費だけ見ていた141円に対し、実原価は172円。2割強(約22%)大きくなりました。値づけや「これ、利益出てる?」の判断は、必ずこの実原価を起点にします。

原価から「手取り利益」までつなげる

原価が出たら、最後に販売価格から手数料・送料・原価を引いて手取り(利益)を見ます。式は料率が変わっても使えます。

手取り利益 = 販売価格 −(販売手数料)−(出品者負担の送料)− 実原価

例:販売価格1,200円・販売手数料率10.56%・ネコポス送料210円(出品者負担)の場合——
1,200 − 127(手数料)− 210(送料)− 172(原価)= 691円。手取りは約691円、販売価格に対しておよそ58%です。

※ 販売手数料率は一例です。2026年6月時点の代表的な料率は、minne 約10.56%(税込・注文単位)、Creema 約11%(税込)、メルカリ 10% など。改定があるため最新は各サービスの公式料金ページで必ずご確認ください。重要なのは料率の暗記ではなく、上の式に当てはめれば料率が変わっても同じ手順で手取りを出せることです。販売価格そのものの決め方(原価からの逆算)は、価格設定の記事で解説しています。

原価を記録するテンプレ(無料)と、集計の自動化

原価計算は一度やって終わりではなく、材料を買うたびに記録しておくと、按分(①)が常に最新の単価で出せます。買ったときに「日付・費目区分・品目・金額・入数(取れる個数)・販路」を残すだけでOK。あとは 金額 ÷ 入数 で1作品あたりがそのまま出ます。

日付,費目区分,品目,金額,入数(取れる個数),販路

この列で記録できる無料CSVテンプレ(記入例つき)を用意しています。記入例にはこのページの計算(UVレジン液 2,000円÷33=約60円、金具 600円÷10=60円…)をそのまま収録しているので、自分の材料に置き換えるだけで使えます。Excel・Googleスプレッドシート・Numbersで開けます。

→ 原価の記録テンプレ(CSV・記入例つき・無料)をダウンロード

そして売上の側は、各プラットフォームの売上CSVを読み込むだけで売上・販売手数料・送料・原価を区分ごとに自動集計。手取り利益・利益率・月別もそのまま出ます。ファイルはブラウザ内で処理し、どこにも送信しません(登録不要・無料)。原価の取りこぼしや手数料の引き忘れも、ツールに通せば一発でチェックできます。

→ 無料で売上CSVを集計する

関連:ハンドメイドの価格設定(原価からの逆算)物販・ハンドメイドの経費一覧個人事業主の物販まとめ(母艦)

※ 本記事は原価の計算方法を整理するための一般的な解説です。売上原価の税務上の取扱い(期末の棚卸資産の評価など)や、どの支出がどの費目・どの年度の経費に当たるかは、必ず税理士または所轄の税務署にご確認ください。当ツールは集計・整理までを行い、税の判断は行いません。